‘Emotion‘ 2023 S&S District Creative Direction theme
2023年春夏シーズンのディストリクト ディレクションテーマは「Emotion」。このテーマに込めた想いをクリノが語ります。
ひとにとって‘Emotion:感情’はもっとも重要なエレメントのひとつである。
健康で金銭的にも不安が無く社会的な不満等が無かったとしても、‘感情’が無ければなんの充足感も幸せも味わうことはできない。
ではひとの感情はどのようなときに満たされ、幸福感を感じるのか。
パートナーと過ごす時間、家族との語らい、愛犬との散歩、食べ物の美味しさを味わうとき。
道端の花に気がついたとき、満月を見上げたとき、風の中に季節を感じたとき……。
では‘服を着る’ことはどうだろう?
パンデミックや戦争などの社会不安は我々の上にのしかかり、ネガティヴに作用しました。
たいていのことでは気持ちは明るくなりません。
この数年間、そんなことを思わずにはいられない時間が多くありました。
それは今も消え去ってはいません。
では‘服を着る’ことで、ひとは幸福になれないのだろうか?
近年、ファッションとはアイコン消費の様相を呈してきました。
広く知られたアイコンや、その時話題のアイコンとしての商品を入手すること、そして入手した自分や身に纏った自分の画像をソーシャルメディアに露出し、話題となり、承認されること……。
つまり‘承認要求’の道具としての‘ファッション’が大きくクローズアップされ、まるでそれこそがファッション(ファッション消費)であるかのように言われるようになっていました。
では、それで、アイコン消費でひとは幸福になれたのだろうか?
僕はそうは思いません。
‘服を着る’ことや‘服との出会い’は、そのエモーションによって花々や絵画と同じようにひとを高揚させ、幸福にしてくれるものではなかったでしょうか?
僕は今一度、そこを見つめ直したい。
ファッションが本来持っていた‘Emotional’な要素、心が動く楽しさを取り戻したい。
美しい色の生地、手触りの良い素材、完成度の高い服や履き心地の良い靴を提供し、そこに感情を動かし、幸福を感じて貰いたい。
2023年、春・夏のディストリクトはファッションの原点でもある‘Emotion’つまり‘感情’にフォーカスしたプロダクションと、その‘想い’を伝える接客でお客様に幸福感を味わっていただきたいと思っています。
そのキイとはやはり‘色’でしょう。
クリノ