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2012 FW Kolor
2012.08.16|by モリヤマ、ジョージ
Districtとは切っても切れない関係の<kolor(カラー)>。初のランウェイショーを行ったKolorの2012年秋冬はどんな印象だったのでしょう?モリヤマ&ジョージの対談です。
Districtでは、ファーストシーズンからご紹介している<kolor(カラー)>。デザイナーの阿部さんとはkolor以前のブランドからのお付き合いになるので、Districtとは切っても切れない関係です。そんなkolorが、今シーズンのコレクションからランウェイショーを初めて行ないました。また一段ステージが上がった印象ですが、実際にショーも体験したジョージさんにお話を伺いましょう。モリヤマ)残念ながらパリコレには伺えませんでしたが、後からみた感想としては一言、“阿部さんらしい”というニュアンスをさらに深く掘り下げてきたなーと感じたのですが…実際の現場にいたジョージさんは、その場の空気とかも体感されたわけで、海外のショーを見ている業界の人達の反応ってどうだったんですか?
ジョージ)記念すべき第1回目のランウェイという事もあり、冬の朝の早い時間だったにも関わらず業界関係者の期待で熱気が立ち込めていました。会場はショーでよく使われる場所で、クリノさん曰く「ここでデビューしたデザイナーはみんな成功している」という縁起の良い場所(エスパス・コミューン)でした。四角いスペースを囲うようにランウェイが設けられていて、クラインブルー調のkolorらしいきれいなブルーのランウェイをモデルが観客のまわりをぐるっと一周する演出で、音楽はテイ・トウワさん、スタイリングが祐眞朋樹さんという豪華な顔ぶれでした。
モリヤマ)ランウェイショーをやったからなのか、展示会で見た物量もいつもの1.2倍ちかいボリュームある内容。どれも阿部さんらしいというのが印象的でした。上下セットになるモノも多く、従来のメンズクロージングのベーシック・クラシックな部分を阿部さんのフィルターを通して再構築されているような。以前からのファンには、kolorの好きな部分が凝縮されているような贅沢な内容ですよね。特に今季はそういう意味でハズせないシーズンなんじゃないかと。
ジョージ)全くその通りで、「The Best of kolor」という印象です!Districtでは、モリヤマさんが言っているようにメンズクロージングのベーシックなモノにkolorらしい味つけがされたモノが素直に買い付けられています。特にメルトンを使用した2つボタンのジャケットや6つボタンのコートなんかは、まだ8月ですが、スカーフ巻いてレザーグローブして革靴にカラーソックスを履いて…と妄想が止まりません。あとは、やっぱりチョークストライプ系も見逃せないですよね、Mr.チョークストライプのモリヤマさん?
モリヤマ)紳士服を語る上で、現代のテイラーの基礎を築いた英国文化は外せないですし、わたしの超個人的なイメージですが、チョークストライプはそんなブリティッシュ・シティスタイルの代表格でした。kolorのコレクションで、そんなストライプがおいしそうに料理されているのを目にしてゾクゾクしました。メルトンもチョークストライプも決して目新しい生地ではないのですが、阿部さんの手にかかって大人の服なんだけどちょっとエキセントリックな表情も見せてくれますね。現代のスーツのようにビタビタのシャープなシルエットではなく、昔のモノクロの映画に出てくるようなちょっとダブダブのパンツや丈の長いジャケットで合わせられた上下は、細かいディテールの面白さ以前に阿部さんならではの“ブサイクの美学も感じさせてくれました。
裾から裏地が飛び出したような、または途中からニットに切り替えられたりとか…。細部の細部にまで神経質にこだわった紳士服の美学を嘲笑っている^^ように、美しくダラしない。ローファー(怠け者という意味も)の格好良さでしょうね。そういえばいつも阿部さんの髪形もつねにふわふわした無造作な感じ。でも寝グセがあるわけでないので、しっかり計算されたふわふわ加減なんですよ。きっと^^
ジョージ)そういえば、POPEYE8月号でも10ページの特集がありましたが、そこでも阿部さんが「表現したいのはぼや~んとしたもの。」と仰っています。徹底的に細部まで拘っているのが目に見えるのに、モノそのものにリラックス感がある。kolorの服って、街ですれちがった時に「あっ今の人、お洒落だったな~」ぐらいの印象で、誰もが振り向いてしまうようなエキセントリックさは感じません。それこそぼや~んと景色に溶けるような服じゃないでしょうか。
話が変わりますが、海外でお会いする日本の業界人のkolor着用率はほんと高いんですよ!でも、意外にも外国人でkolorを着こなしている人が、まだそこまで見かけないんですよね…。kolorってとっても気持ちのぬけ感が大事だと思っているんですが、その辺に関しては阿部さんがだいぶ海外をおいて先にいっちゃってるような気がするんですよね~。例えば袖が長めで折り返さないと着られないジャケットがあったり、裾上げをミスしちゃったような9分丈パンツなんかは、海外の業界人の大半は理解に苦しみそうですよね。。
モリヤマ)それは感じてました。海外のお洒落といわれるスナップサイトなどを見ても、欧米の人々はいまだにクラシックで体にフィットした完璧な着こなしオンリー。もちろんそれは王道としてのかっこよさを感じるのですが、そこから飛びぬけたものは感じない・予定調和的ですよね。色づかいでハッとさせられることはありますが、それぞれはいたって普通…。それでもかっこよく見えるのは、やっぱり体型とかマスクとか肌の色とかもって産まれたものでしょうね。そこは我々黄色人種が逆立ちしても敵わない部分。でもkolorのような「アレ?」と思わせる絶妙なバランスと王道シルエットからの逸脱のさじ加減は、はるかに進化しちゃっていると思います。
ジョージ)改めて、、、な話を続けたところで本題に戻りますが、今シーズンのkolorはチョークストライプに代表されるブリティッシュテイストも勿論ですが、着こなす上でカラーストーリーも大きなポイントになりそうですね!DistrictでAntipastさんにお願いをするきっかけになったカラーソックスもそうですが、いつにも増してキャメルカラーも気になります。襟がニットになっているジャケットやコートは、今すぐ着たいです(笑)。キャメルカラーの上着にスカーフ調のネクタイをして、ホワイトソックスを履いて(Antipastさんで企画中です!)品良く着たいです。モリヤマさんはいかがですか?
モリヤマ)kolorの基本カラーパレットと言ってもいいダル・カラー(濁った・彩度の低い色調)は今回抑え目だった印象です。ジョージが言うように柔らかいキャメルや赤、エンジにブリーチしたデニムの色…とちょっとだけ今までの色調から鮮やかになったような。これって先シーズンから予兆はあったのですが、一気に花が開いたようなとても新鮮な印象でした。コレクションの中で見ると暗い色目になるのですが、ベーシックなネイビーも単体で見ると蒼味がかっていたり。
やっぱりコレクションの写真を見ると、ソックスはポイントにするというのは直ぐにでもトライしたくなるよね。赤だけでなく、色んなカラーソックスとチョークストライプの紺との合わせ。キャメルカラーもツィーディーな印象のチェックも外せない。こうして色目を表現するとホント、クラシックな印象ですがやっぱりバランスがkolorならではのアレンジなので、見たことあるようでとても新しい不思議な魅力を見せてくれます。わたしも品のいい色目、素材の物を、ちょっとだけだらしなく…つまり“ブサイク”にリラックスして着るっていうのがいいと思いますよ。ワンプリーツで急激なテーパードで人気の(Districtでいうところの)Newブサイク…。ここでもチョークストライプがあったりして(裾もダブルで)、かなり気になっています!
ジョージ)忘れていましたが、kolorのユーモアな部分でひとつ。フロントが切り替えになっているシャツがあるのですが、一見無地に見えるのが、よ~く見ると実はペンギンがいます。オトナのヒゲのおじさんがネクタイして着てたら、最高にオチャメでカッコイイですよね!そんなkolorのユーモアもお見逃しなく!
モリヤマ)阿部さんらしいふわふわとしたユーモアですよね。クールな顔してきっとツッコミを待ってたりするのも、大人のヨユー(=リラックス)だと思います。シリアスに…ではなく肩の力を抜いて楽しみたいですね!
本文のおわりです。