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Men's Shop
2012.08.02|by プロフェッサー・S
男のベーシックなクローゼットを意識した上で、トータルな組合せ自体はベーシック、1アイテムを新しいアイテムと取り替える事で、ユーモアや新しさを。プロフェッサー・Sによる、2012年秋冬テーマの講座です。
こんにちは。今年は年頭からなかなかエクストリームな天候の中、この時期になりましたが、皆さんいかがお過ごしですか?工夫しながら楽しく過ごしてゆきましょう。今回は2012年秋冬のテーマのお話。
テーマはなんと、“Men's Shop”です。
栗野教授のお言葉を借りると…
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2012年、秋・冬のディストリクトのテーマはズバリ、“Men's Shop”です。ディストリクトも開店12年となり、干支が一周しました。これまでディストリクトというお店が培ってきた最良/最強の部分をもう一度見つめなおし、13年目以降の飛躍と発展につなげます。そこで今回のようなテーマとなりました。Men's Shopのテーマでは、“あらためて紳士服の基本的部分”と、“ヒネリの効いたユーモラスで楽しい部分”とを具現化していきます。
ディストリクトというお店には、常に熱心なファンや顧客の方が訪れます。リピーターの方達には毎回嬉しい驚きと刺激とを、また、初めてディストリクトにいらっしゃるお客様には安心感と、他店にはない品揃え、サーヴィスを提供します。
ディストリクトのメンズショップには、良質の生地(英国製、イタリア製、日本製)を使用したオリジナルのクロージングと、日々の着こなしにスパイスを与えるユニークなデザインの輸入服やデザイナーズ・コレクション、そして常に時代を先取りするシューズ等のアクセサリーが厳選されて展開されています。
今回のMen's Shopのテーマの下に製作されるクロージングは、トラッドマインドに溢れた、ベーシックとも言うべき、素材、柄の集大成となっており、そのことが、揺れ動く時代の中で却って新鮮にうつります。クラシックな柄こそはエヴァーグリーンであり、時代の流れを超えて価値を訴求し、美しさの定義を再認識させてくれるものです。“最もベーシックなものは最も新しく成り得る”ことは自ずと証明されるでしょう。それら、クラシックなニュアンスの素材を使用したオリジナル商品の“着こなし”をアップさせるものが、ディストリクト得意のユニークなシューズや、オリジナリティー溢れるタイ、スカーフ、そして雑貨類です。手に取りやすく、はいりやすく、しかも今まで以上にお洒落感を感じさせるオリジナル商品群となっています。また、仕入れ商材では、上記オリジナルのスタイリングに特に有効な色目、柄行き、を強く意識しています。
より粋で洒脱なMen's Shopを成り立たせるべく、今回はNavy+Blackというコンビネーションを強く意識したり、アールデコ期の柄や意匠、ニュアンスも意識したりしています。
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という事になります。ここで、栗野教授から、ズバリ直球で“Men's Shop”が来ました。2012年の今、なぜ“Men's Shop”なのか?
栗野教授は常に、世の中の流れ(ソーシャル・ストリーム)の流れからファッションの傾向を読み出していきます。昨年の震災により、人々の心の中でいろいろな「リセット」が行なわれ震災以前とは明らかに気持ちに変化が生まれました。そうして過ごしている中で、いま必要なものな何なのかを少しづつ探してみると、いろいろ出揃ったなかで、ベーシックなものが一番力強く新鮮に映るのではないか、という事がこの2012年秋冬シーズンなのなのだと思います。POPEYEをはじめ、GQ、UOMO、GINZAがよい形でリニューアルされ、発信したいものと、求められているものが一致してきている印象を受けます。これもある意味「リセット」ですね。今回のテーマは、ドレススタイルにルーツを持つDistrictにぴったりなもので、形や柄もクラシックで男らしいものを選び、原点回帰しています。
Districtのオリジナルはスーツスタイルを基に、進化、発展して出来ています。例えば、シャツなら、ドレス専用、カジュアル専用のシャツは基本、用意していません。それは、私も栗野教授も、ドレスシャツを洗いざらしでカジュアルに着ていたからです。ドレスシャツをタイドアップだけに着るのではなく、同じシャツを洗いざらしにしてジーンズやチノパンツに合わせてカジュアルに楽しんでいた訳です。タイドアップするにもスーツに、シャツだけ洗いざらしにしてタイドアップし、カジュアル感を演出していました。
2000年代に、ドレスとカジュアルをはっきり分ける風潮が生まれ、世のシャツはドレス専用、カジュアル専用に分かれて、少々やっかいな事になっています。もっとシンプルに、同じものをプレスしたり、プレスしないで洗いざらしにしたり、合わせるものを変えたり工夫しだいで何通りにも着る洋服本来の楽しみに戻りたいと思います。スーツスタイルやジャケットスタイルを基に、コーディネートと着方の工夫で、ドレスアップ、ドレスダウンを楽しんでゆこうというものです。そのために、シンプルでベーシックなアイテムをそろえました。また、シンプルに“男のワードローブ”という事で“男らしさ”も意識しています。
ドレススタイルの基本として、スリーピースを基にワイドラペルのシングルピーク型を新型で用意し、男らしさを増しました。無地からベーシックなストライプ、面白みではチェックのものを用意、また洗った一重のスーツであればかっちりした柄を選んでいます。
Districtのオリジナルは、新しいものや奇をてらったものを作っている訳ではありません。特にブレザーは注目です。皆さんもお持ちのブレザーのタイドアップスタイルに、パンツを新しいシルエットのものに変える事で、コーディネート全体をその時らしくアレンジできます。これをひねりの利いたユーモアと捉えています。ユーモアの中には、形はベーシックで柄が面白いものもあれば、形自体がおもしろいものも含まれ、コーディネートして出来上がりがユーモラスになる場合もあります。
男のベーシックなクローゼットを意識して品揃えした上で、トータルな組合せ自体はベーシック、1アイテムを新しいアイテムと取り替える事で、ユーモアや新しさを感じる。この部分にフォーカスして、今季もたくさん楽しんでください。
“S”
本文のおわりです。