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District通信 | 注目のブランドやアイテム

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前に向かって進む服

2012.07.21|by クリノ


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ディストリクトの秋冬シーズン、トップバッターは、おなじみ<Comme des Garçons Homme Plus>。クリエイティブアドバイザー クリノが「洋服屋サンやっていて良かったね!」と語る、最新コレクションが入荷しました。

先日18日間の海外出張から帰国し、帰国翌日にはニューバランスの展示会(2013年、春・夏)もありました。今回は出張3日目から最終日まで、豊永ジョージ君も一緒です。18日間ノンストップで流石に肉体的な疲れは否定できませんが、それでも毎日何か感じることや考えること、発見があり、結果的には今回も充実した旅となりました。そしてジョージ君と毎日言っていたのが“やっぱり洋服屋サンやっていて良かったね!”ということ。

出張や買い付けには楽しいことばかりでなく、難しい局面や残念な出来事もあります。また、僕らが観た全ての展示会やコレクションが素晴らしいものだった!という訳でもありません。しかし、逆に言えば、毎回、全部のコレクションが完璧なことなどあり得る訳がなく、期待過剰な場合も多々あります。それでも、それらのコレクションを作り上げているデザイナーや製作スタッフの姿、考えや感性、ひいては人間性が垣間見える“コレクションという結果”に接することは、ひとがひとと関わって生きていくことの中でも、かなりヴィヴィッドな事象の一つであることに間違いなく、むしろ、困難や問題との出会いも含めて“洋服屋サン”という職業だからこそ遭遇できる、これらのエモーションやハプニングはお金では買えない体験でしょう。

今年の1月、パリ薬科大学の講堂で観たコム デ ギャルソン オム プリュス(プリュス)のショウとは、まさに洋服屋冥利に尽きる体験でした。

そもそもプリュスというブランドがサンジェルマン、つまり左岸でコレクションを開催すること自体、僕には意外でしたが、その意外さは、そこに今までとはまったく異なったものや斬新な何かを予想させるものでした。パリ薬科大学の講堂でのコレクションの常連はポール・スミスやアン・ドゥメルメステール、モンクレール・ガム・ルージュetc…で、随分前のジュンヤ・ワタナベのウィメンズでは聖歌隊の少年がライヴで歌を歌ったコレクションが印象に残っています。そのコレクションは観客が感激して涙する程エモーショナルなものでした。どちらかと言えば、クラシックなものが似合うこの講堂で、一体、プリュスがどのようなショウを見せてくれるのか?僕は興味シンシンでした。僕の席の隣は90年代から知っているスタイリストのオリヴィエ・リッツオ。彼はミウッチャ・プラダが全幅の信頼を置く人物で、素晴らしい仕事をします。旧知のオリヴィエとは何時も様々な情報交換をしますが、彼はプリュスの大ファンでもあります。オリヴィエとオフレコな話題を重ねた後、ショウが始まりました。

このコレクションは今までに僕が観てきたどのプリュスとも違ったものでした。あとで知ったことですが、“男性でもなく、女性でもない”がテーマということ。プリュスのコレクションではテーマが設定されるごとに、そのつどメイキング(製法)も変えていきます。今回のテーマを具現化するにあたっては、従来的なメンズの型紙や縫製をも逸脱した、と聞きます。例えば襟は“抜きえもん”のような構造です。或いは大胆な花柄、ヒールのある靴。逢えて言えば、僕には18世紀を想起させるシルエットやディテールの様にも見えました。それら全てを総合して、意図としては“男らしくない”服、と言えます。

ところが、僕には圧倒的に男らしく見えたのです。それはキャスティングやスタイリング、或いはフィナーレの演出のせいもあるかも知れません。でも、僕はそこに“超越的なサムシング”としての“強さ”を感じたのです。男が社会的なコードとしての男性性を意図的に逸脱する、それは“主体性と選択”という意味では逆に、極めて“強い”行為、言い換えれば男らしい行為なのかも知れません。女性の服のようなデザインや構造、ディテールに身を包んだオトコたちは、明らかに一歩、力強く、前に進んでいました。アイテムとしてはフロックコートに最も惹かれましたが、そこにも僕は男らしさを見たのかも知れません。

講堂を出る時、全ての観客は高揚感に満たされていました。ファッションが奇跡を生んだ瞬間に立ち会った、という高揚感に。コンセプト、デザイン、メイキング、プレゼンテーション…全てが破格の完成度でした。

そして、このコレクションを“体験”できた僕は、やっぱり洋服屋サンをやっていて良かった!と思ったのです。

コム デ ギャルソン オム プリュスの2012年、秋・冬コレクション、店頭で是非ご覧ください。そして、是非、ご試着されてみてください。皆さんも、かつてない高揚感に包まれることでしょう。そして、前に向かって歩みだしたくなることでしょう。

これこそが“ファッションのチカラ”だと思います。

クリノ



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