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kolor 15
2012.02.09|by モリヤマ

※ すべて参考商品、1月27日(金)以降、続々入荷予定です
商品に関するお問い合わせはすべてDistrict UNITED ARROWSまでお願いいたします。
細身で体にフィットしたタイトな洋服が美しいという、その頃の単純な美意識に革命をもたらした“kolor(カラー)”。15回目となる、2012年春夏コレクションが入荷してきました。
2012年春夏のコレクションが入荷してきました。“kolor”と書いて“カラー”と呼びます。15回目というのも感慨深いですね。8年前の一番最初のコレクションは、恵比寿ガーデンプレイス奥の上品なホテルの一室で、ホントに身内だけって感じで行われました。その頃から繊細な糸を用いながらちょっとイレギュラーの表情をもつニットや、古着のようなパッカリングが特徴的なパンツ、濁っていながら綺麗な色遣いなどの特徴はあちこちにみられ…デザイナー阿部さんの作る洋服は、kolor以前から携わっていたブランド(Districtでも人気ブランドでした)から続く個性とクオリティの連続性を感じさせてくれ、その時は業界の中でどんな受け入れられ方をするのかは未知数だったものの、Districtというお店では確実にお客様に喜んでもらえる=“売れる“とう予感を持って迎えられたのでした。
細身で体にフィットしたタイトな洋服が美しいという、その頃の単純な美意識に革命をもたらしたのもkolorです。落っこちたヒップやあまった腰回りなど、古着のパンツをコシバキしたあの感覚を再現してくれたパンツはDistrictでも大ヒット。トップスとのバランスさえ新しく見せてくれる阿部さんの美意識に、結果的にみんな洗脳されてしまったワケです。
ほら、スキニーシルエットが無条件にかっこよく見えていた頃と、サルエルパンツがもつちょっとマヌケなバランスが”良いかも!”と思うようになった最近との間にあるきっかけって、kolorじゃありませんでしたか?少なくともDistrictのスタッフはそう感じています。
もちろんパンツだけでなく、ラペルがついたカーディガン、ニットジャケットも見返しがひっくり返ったり、裾や袖口がくるくる丸まってきたりと、未完全なものの持つ美しさを気づかせてくれた名品が存在します。
ニットたちは繊細な細い糸でとても上品な見え方ですが、前ブランド時代から多用されていたカバリングの技術で結構頑丈につくられています。(カバリング=編む前の糸の段階でコットンやリネンの細い糸にポリエステルやナイロンの糸を巻いて強度を与えるのと同時に滑らかなタッチや不思議な引っかかるようなタッチも楽しめるようになっているメンドクサイけどkolorの個性的なテクニックです)
ジャケット類は「昔の紳士服のように毛芯やパッドで作り込まれた肩が好きだ」とおっしゃるように、しっかりした肩が特徴です。ラペルの幅やゴージ・ライン(上襟と下襟のライン)の落ち方など、ここにも古着屋でだったらよく見かけるような、ブサイクな表情がkolorらしいアレンジで楽しめます。これらの特徴は、どんなシーズンであってもkolorのブランドサインのように継続して見る事が出来、ブレない個性ともいえますし、ファンとしてはそんな特徴を見つけるたびに嬉しくなってしまいます。(そしてもちろん買ってしまう…^^)
2012年春夏のコレクションはというと、一昨年から定番化したNewブサイク型のパンツがほとんど。おっこちたヒップとあまったワタリはブサイク同様ですが、急激にテーパードして足元のモッサリ感をなくしています。実は展示会で見ても、いまやほとんどのパンツがこの形。サルエルまではいかないけどそんなボリューム感を楽しめるパンツとして、いまやkolorの主流パンツとなっていていろいろな素材で楽しめます。
新アレンジとしてはコレにウエスト・ゴムとスピンドルを通したイージーパンツが面白いです。上品なウインドウ・ペーン柄で、オトナはウエストのゴムをこっそりジャケットで隠して楽チンオフィススタイルなんていうのもイイですね。さらにもうひとつ、目新しいアレンジがありました。今までノンプレス、もしくは製品洗いでヨレヨレの表情が特徴的でしたが、ホップサック調のしっかりしたウール生地をパリッとセンタークリースを入れてプレスしたパンツが新登場します。Aldenが似合いそうなダークブラウンと、ヒップポケットのフラップについたネコ目ボタンの表情が、これまた古着(お父さんのクロゼットにありそうなという意味で)みたいです。
そんなパンツ類ですが、共生地のジャケットとセットアップ可能なものも…。パイピング生地を手縫い風の粗いステッチで縫いとめたジャケットはしっかりした肩パットが入り、メタルボタンが凛々しい印象です。ここでもちょっと低めに落ちているゴージラインが、気軽にTシャツだけで羽織れるような気易さを与えてくれています。このパイピングテクニックはほかにリネン×ナイロン・チェックの軽いセットアップにも見られますが、ここではパイピングの素材はデニム!ストーンウォッシュのような、非常に軽いトーンがチェックの軽さとあっています。
ほかにも思わずニヤリとさせられる“ヤシオウム”プリントのTシャツや、紙のように軽い風合いのトレンチコート、ダブルのアンコン・ジャケットなどなどkolorらしいアイテムがたくさんです。リラックスしている・スカしていない・計算された未完、そして美しく濁った色合い…ブサイクの美学に開眼させられる15回目のコレクションをお楽しみください。
そして最終情報。今年初めのパリ・コレクションでは、初のランウェイショウを行い大盛況でした。はじめてのホテルの一室での展示会からここまでのkolorの道のりに、販売してきたDistrictのお店として実際に買い物してkolorの服を楽しんできた一ファンとしてとっても喜ばしいですね。ディレクター・クリノもショウのあとバックルームの阿部さんのもとにお祝いの言葉をかけにお邪魔したそうです。リテイラーとして阿部さんの美意識をこれからもちゃんと皆様と共有したいなと思います。
モリヤマ
本文のおわりです。