終わりは始まり
Finish of something is not the End but start of another.
昨年末、英国で革製品ファクトリーXが生産を終了し、ブランド自体も終了を告げました。
多くの方に愛された製品は現在残っている在庫が完売次第マーケットから姿を消します。
Xの製品はユナイテッドアローズ(UA)でも長年に渡って人気商品でした。その終了を惜しむお客様方はXの在庫をUA各店頭で探されています。
X終了の理由は後継者の不在でした。それも非常に納得性の高い内容で。
僕自身も数多くの同社製品を愛用してきましたが、中でも革製の眼鏡ケースはお気に入りで黒と茶色の2色を30年位使い続けました。X終了のニュース後、カードケースを買い求め毎日使用しています。
本来であれば、この話はここで終わります。しかしここで驚くべき出来事が起こります。
ブランド終了のニュースから約半年後、Xの輸入代理店の代表デヴィッドさんから久し振りにアポイントメントの依頼が来ました。デヴィッドさんは誠実で素晴らしい方です。
数年ぶりの商談の席でデヴィッドさんは革製品のサンプルを見せてくれました。
BEORMAという僕の知らないブランドでした。
BEORMAはベオーマと読むそうで、3世紀頃のバーミンガムの旧呼称。そしてベオーマのファクトリーはウォルソールという場所にあります。
勘の良い読者はお気付きと思いますが、新会社ベオーマは終了したXのセカンドライフなのです。
【BEORMA】
■ MESH P0011 25mm
(Dark Brown,Black)
1341-403-2055
Size:30inch,32inch,34inch,36inch
HANDMADE IN ENGLAND
Price:33,000JPY(Tax in)
【BEORMA】
■ MESH P009 34mm
(Dark Brown,Black)
1341-403-2053
Size:30inch,32inch,34inch,36inch
HANDMADE IN ENGLAND
Price:33,000JPY(Tax in)
【BEORMA】
■ MESH P0058 28mm
(Dark Brown,Black)
1341-403-2054
Size:30inch,32inch,34inch,36inch
HANDMADE IN ENGLAND
Price:33,000JPY(Tax in)
1989年、僕と数人の仲間は新会社を立ち上げました。名前はユナイテッドアローズ。
'志に忠実に真っ直ぐ進む『矢』を束ねたチーム'という意味でその『矢』の一人が僕でした。
創業したてのユナイテッドアローズ(UA)は無名であり、そこに商品を卸してくれる取引先も少ない状態。そんなUAに真っ先に商品、つまりブランドXを持って商談に来てくれたのがデヴィッドさんで、担当のバイヤーは僕です。デヴィッドさんの真面目さや品質に関する信念に深く共鳴しました。こうしてブランドXはUA店頭で展開され、やがて大きく成長し、UAの顔と言って良い存在になったのです。30年以上のお付き合いです。
そして再びデヴィッドさんは誰よりも先に僕とUAのバイヤー/ディレクターである内山氏にベオーマを見せてくれたのです。
ベオーマはXの終了を惜しんだアレックス・シンプソンが同社の生え抜き職人を引き連れ、新たに立ち上げたファクトリーでありブランドなのです。僕と内山氏はサンプルの完成度に驚きました。製品は当然Xに似ているのですが、微妙な違いがある。
【BEORMA】
■ BRIDLE B0015 28mm
(Dark Brown,Black)
1341-403-2057
Size:30inch,32inch,34inch,36inch
HANDMADE IN ENGLAND
Price:19,800(Tax in)
【BEORMA】
■ BRIDLE B0013 28mm
(Dark Brown,Black)
1341-403-2056
Size:30inch,32inch,34inch,36inch
HANDMADE IN ENGLAND
Price:26,400JPY(Tax in)
【BEORMA】
■ BRIDLE B0016 22mm
(Black)
1341-403-2058
Size:30inch,32inch,34inch,36inch
HANDMADE IN ENGLAND
Price:17,600JPY(Tax in)
例えばバックルの形状はXよりも無骨に感じます。そこが逆にモダンにも見えるのです。僕は気に入った革製品は長く使い続けるので、飽きたり、頻繁に変えたりしません。ですからここ数年、某社のややワイドなベルトを二色揃えて、殆どのスタイルにそれを合わせてきました。
しかし今回ベオーマの製品を見て、久し振りにエキサイトしました。
'この少し無骨な感じ...やや分厚いブライダル・レザーや、いかにも手編み感のあるメッシュ・ベルトをチノパンツやスーツに合わせる'イメージがムクムクと湧いてきたのです。
'気に入った革製品は二色買い'が昔から僕のポリシー。早速、シンプルな一枚革のベルトを黒と茶色で揃えました。メッシュも硬くて良い感じです。
'何かの終わりは終点ではなく、次の始まり'。今回ほどそれを強く感じた例はありません。
BEORMAを心からお勧めします。そして、数少なくなったXの在庫も是非お好きな方の手元に届きますように。
Enjoy.
クリノ・ヒロフミ 2023年、初夏。