ローデン・コート
皆さんこんにちは!先週、今年最後の海外出張先(の筈...)である台北に行って参りました。ユナイテッドアローズ初の海外出店に立ち会うためです。台北は2回目ですが、食べ物が美味しく、人が優しく、とてもいい感じでした。
さて、今日は'ローデンコート'のご紹介です。おそらく今の若いお客様ですと'ローデンコート'と聞いてもご存じない方が多いと思いますが、チェスターフィールドやブリティッシュウオーマーと同様に紳士服のクラシック(古典)的な衣料のひとつです。ローデンクロスと呼ばれる軽くて暖かいウール素材を使用したメンズ・コートですが、特徴が幾つかあります。

- ローデンクロスを使用していること:軽くて暖かいです。
- 袖付けの構造:'脇の下を縫い付けないことにより肩周りの可動域を広く取り猟銃を構えやすくするフローティングショルダー構造が特徴'と紳士服事典に出ていますが、ユニークな構造です。
- A-Line:背中に大きなプリーツがあり、裾まで続いています。それによって一種のAライン的なシルエットとなっていますが、これも上記2同様に、動きやすさを追求したためでしょう。
- 袖口のレザー:袖口(先端)がレザーのパイピングになっています。これは補強の為と思われます。
以上からもお分かりいただけるように、そもそもはハンティング/シューティング時の使用を考えたものが、その便利さ故に広く着用されるようになったのがローデンコートです。面白いのは発祥地のオーストリアよりもイタリアでポピュラー化した、という点でしょう。UA創業の頃の海外出張、つまり80年代から90年代にかけて、冬のイタリアで見かける殆どの紳士が着用しており、当時のUAバイヤー・チームでは"100万人コート"、とまで呼ばれていました(我らが鴨志田氏も当時小粋に着用していました)。
ハンティング/シューティングの様に、実用性から生まれたアイテムがファッションとしてアクセプトされていく...例えばM65やMA1やダウンヴェストも同様ですが、そういう現象が時々起きるのがファッションの面白いところですね。そのローデンコートが最近やけに新鮮に映るな...と思っていたらルオモ・ヴォーグ編集長のジャンルカ・カンターロ氏も着ていたので、これはますます'来る'と確信しました。そこで急遽オーストリアで探して発注!数量はほんの少しですが'温故知新'をいち早く味わいたい方、動きやすく、軽いコートをお探しの方にお勧めです。スーツ・スタイルにもタートルネック等のカジュアルでもイケます。Aラインの後姿がエレガントですよ!
栗野 宏文