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ジャコメッティに愛をそそぐと

posted by モリヤマ

フランスのSHOEデザインの特徴のひとつ、
つま先の外側が非常に高い木型をもちいた(ふつうは外側に向かってなだらかに傾斜しますね)
今回のジャコメッティはヴィンテージの靴のような、
60年代のシアーズのカタログに出てくる子供の靴のような、
どこか懐かしい雰囲気と愛嬌があります。

                                  
ちょっとヌケたような独特の愛嬌に反して、実は
使用している革はいずれも非常に贅沢なもの。

伊イルチア社...
美しい色だしでも有名なあんなブランドやこんなブランドが
使用する パティーヌ(色を落としたような)加工はこの革、
またはデュプイ社のイエスという原皮でないと表情が出ないそうです。
もちろん、中央のグラデーションも美しい今回の仕上げはこのイルチア社のもの。
明るい色目なのでついついナチュラルやライトタンなどのWAXを使用したくなりますが、
色合いが薄くなっていくので、ちょっと濃い目(ミディアムまたはダークブラウン)の
WAXを使用してください。
 

                          DSCF1920.JPG

 U-TIPのモカ縫いも角が立ったこの2モデル(羽根のデザインが異なります)は
実は磨くことでどんどん表情がでてくる革です。


                



イタリア マサイ社...
前述イルチア社より職人が独立してつくったタンナーで、以前の絶頂期のデュプイに
匹敵する原皮の柔らかさが特徴。
よく目にする英国の名門クラシック靴などのアンティーク風加工の革は
現在ほとんどここのバニシング・カーフを使用しています。


                                                 

WAXで磨きこむことで表情のある色むら(焦がし)が出ることが特徴なのですが、
ジャコメッティの工場自体に磨きラインがいなくて
(職人はいるのですがパティーヌの磨き職人しかいない)
この独特のアンティーク仕上げを施さないまま製品にしているそうです。

ちょっと濃い色目で磨いてあげたほうがアンティーク風の表情も出ます。



今回、仕上げなしの表情よりも磨いて、ある程度アンティークの表情をつけた方が
革本来のパフォーマンスもお客様に伝わるのではないかとウィリーのA山様の
御好意で全部磨いていただくことになりました☆

buffing_giacometti.JPG

左がバフィング完了の風合い...。徐々に作業していき、店頭に並びますので
お楽しみに!自分で革靴を磨いて風合いを育てる。これこそ愛ですよね。
ジャコメッティに愛を注いでご自身なりの光沢と'焦がし' をお楽しみください!

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