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District Report | District 通信

・・・の後のカラー

長い外出自粛期間、みなさまはどんな服を着ていましたか? この状況で服との付き合い方を考えたクリノが選んだのは、カラーのパンツだそうです。その理由とあわせ、新入荷商品を紹介します。

いつもディストリクトをご愛顧いただきありがとうございます。今年も‘立ち上がり’の時期となりました。

毎シーズン、みなさまが日々を楽しく過ごせる‘服’を提案できるのは僕等スタッフにとっても最高の喜びですが、今季は特にそれを強く思います。
春から初夏にかけて、多くの方が僕同様になんとも言えない3カ月を過ごされたと思います。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大を阻止するためにとられた‘緊急事態宣言発令’と‘外出自粛要請’のなか、日本および世界の都市に住む人々は‘じっと家に居る’こととなりました。
この3カ月、僕はどの様に過ごしたのか、長い時間自宅に居て何を考え、何を着たのか、について書きます。

今年は3月頭にパリから帰国以降、ずっと日本に居ます。家に居れば家族と過ごせるのでそれはそれで嬉しいのですが、‘世の中を見て、人を見て、洋服を見る’のがシゴトであり、趣味でもあるクリノなので、ひたすら家に居る、家で仕事する、という毎日は不思議な感覚でした。
しかも、ただじっとしていれば良いということではなく、常に‘見えない脅威’の存在を意識せざるを得ない日々、というのは、それを過度に考えてしまうと心身に変調をきたしかねません。2011年、3月の東京電力福島原子力発電所の事故に伴う放射能拡散時も似たような恐怖を感じましたが、COVID-19に関しては‘ヒトと会わない,触れない’ことが要求されるのでマインドはさらに複雑です。
今回の様な状況においては心の支えとなる家族やパートナーの存在がとても大きいと思いましたが、たとえば、成人し、就職し、独立して暮らす自分の娘と会うことさえお互いに遠慮せざるを得ず、解決策として家族でのリモート飲み会をやっていて‘事態のストレンジさ’をふと振り返ることも一度ならずありました。
僕は常々‘気の持ち方が全て’と思いながら生きてました。今回も、ただ不安がっていても仕方ない、見えない脅威にキモチ負けしたくない、とも思いました。

・コート(kolor):¥173,800 +tax

・パンツ(kolor):¥52,800 +tax

・パンツ(kolor):¥59,400 +tax

そこでたいせつなのが、やはり‘服’との付き合い方。
まずは手持ちの服をじっくりと見ました。そもそも、連休や夏休みには必ずクリノ・アーカイヴの整理をするのですが、今春はそれが突然始まり、しばらく着なかった服のグループ達と向き合うことに。
‘家に居るから着るものを気にしない’ではなく‘家に居るからこそ『何を選んでどう着るか』が重要’でした。

結果、‘何を着るか?’についてはロックダウン以前よりも多く、深く考えました。そして選んだ服、意識して着替えたアイテムはパンツです。とりわけkolorのパンツは今まで以上に熟考して選び、履きました。
家に居て寛ぐことは重要ですが、肉体的にリラックスしていても気持ち的に‘仕事をする’とか‘その日やると決めたことは実行する’という精神状態に居るために、僕はただのラクチンなスタイルやアイテムを選ぶことを避けました。そこで毎日‘意識的に着替え’ました。

・ジャケット(kolor):¥90,200 +tax
・パンツ(kolor):¥39,600 +tax

・ジャケット(kolor):¥85,800 +tax

・セーター(kolor):¥60,500 +tax

・Tシャツ(kolor):¥16,000 +tax

朝食時にはTシャツ&ワークパンツで居ても‘さあ今日を始めるぞ’というスイッチを重要視します。別にプレスの利いたパンツやドレッシーなスラックスを履いた訳ではありません。しかし、以前は‘外出’用だったり、特に‘色が主役の日’用だったり、という選択肢下にあったkolorのパンツを選び、思い切って家で洗濯し、生地を柔らかくしたり、少し毛羽立たせてみました。‘よそ行き感’をレスにした、と言えるのかもしれません。
kolorのパンツはパターンの完成度が高く、着心地が良く、かつ‘ヘン’なシルエットがやみつきになるパンツです。結果、選んだのは綺麗なブルーのコットン・パンツで形は所謂‘ブサイク’型、あるいはタフなヘヴィー・チノのパンツ。これらをあえて家で洗い、白Tとあわせて履いたりすると、単に‘家に居るクリノ’ではなく‘何かをするクリノ’のスイッチが入りました。それらのパンツには快適さと高揚感が同居しています。

外出もできず、食料品以外の買い物にも行かない日々のなかで‘着替える’ことは、いわばちいさな旅でした。着替える前と後では違う自分が居ます。いや‘居る’と思うことが重要です。そんな感じで生活者として、あらためて‘服を着ること’と向き合って良かった、と今は思います。

・パンツ(kolor):¥115,500 +tax

・ブルゾン(kolor):¥121,000 +tax

・ニットベスト(kolor):¥97,900 +tax

・セーター(kolor):¥81,400 +tax

・セーター(kolor):¥81,400 +tax

COVID-19は近代社会のあらゆる課題を‘可視化’しました。産業、経済、政治、文化、環境……。今までの生き方、暮らし方、消費生活をそのまま続けていくのか? 続けて良いのか? 価値観が根底から問い直されました。
なにしろ、いつウイルスに感染しても不思議はない、自分の生存が危機にさらされている、というときにモノとどうつきあうのか、これ以上、新しい服は必要なのか、どんなプロダクツなら買う意味があるのか、と多くの洋服好きが自問自答した3カ月だったとも思います。
そんな時間を過ごした後の(何も終息してはいないのですが)、新しい季節。それは今までになくシビアで、真剣で、意味ある選択を迫られる、と思います。
COVID-19をきっかけに見え方や捉え方が変わってくる服もあると思います。場合によっては価値や魅力が減退してしまうブランドもあるでしょう。
COVID-19が突き付けた問題は根源的です。そんな‘問い直し’のなかでも変わらず輝き続ける服、重要度を増す服はあります。ロックダウン下の服との付き合いで、僕はますますkolorの魅力や底力を感じました。
ポストパンデミックのファッションにおける最重要キイ・ワードは‘サステナビリティ’です。これ以上無駄にモノを作らないこと、地球資源をもっとたいせつに扱うこと、廃棄しないこと……。それがファッションの未来を決定します。

ではkolorとは何なのか? それは高揚する服でありながらずっと着たい服、大切に着続けたい服です。
デザインが強かったり、ディテールが凝っていたりしても、そこに嘘が無い服。流行りやトレンドに乗る為の付け焼刃的なデザインでは無く、kolorという自ら生み出した美学に忠実な、オリジナルな服。だから魅力的な服。
ずっと着たい服。それも‘サステナブルな服’の在り方です。アベ・ジュンイチはその意味において‘本物のデザイナー’である、とあらためて思いました。

今シーズンもkolorの服を楽しんでください。
それは来年も再来年もあなたの側に居て楽しませてくれる素敵な友人の様な服です。


クリノ・ヒロフミ