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ビスケットヘッドは
オカシナことを生真面目にやる

単に暑さや寒さを凌ぐだけではないのがファッション。そんなファッションの楽しみを教えてくれるブランドの一つが、2015年にスタートしたビスケットヘッドなのです。

ディストリクトをご愛顧いただいているみなさま、何時も気に留めていただきありがとうございます。

お陰様でディストリクトも間も無く20周年を迎えますが、その買い付けやオリジナル商品の企画にあたって何時も重要視しているのが‘ユーモア’です。買い付けるブランドやデザイナーの人間性やキャラクターが‘見える’要素として、この‘ユーモア’はとてもたいせつであると信じ続けて今日に至っております。

世界的に成功したデザイナーや長年の競合のなかで生き残ってきたブランドには必ずユーモアのセンスがあります。ポール・スミス、ジャンポール・ゴルティエ、ヴィヴィアン・ウェストウッド、ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク、ドリス ヴァン ノッテン、マルタン・マルジェラetc……。彼らには程度の差こそあれ、常に‘ユーモア’を見てきました。日本のデザイナーも同様でアンダーカヴァーやカラーやサイには常に良い意味でのヒネリやヒネクレを感じます。コム デ ギャルソンも同様でしょう。

ひとが生きていくにおいて‘怒り’や‘攻撃’よりも‘やさしさ’や‘笑顔’がたいせつなのは言うまでもないこと。2月に平昌で開催された冬季オリンピックを見ても上位入賞者に共通していたのは‘笑顔’でした。そして、ひとを笑わせたり微笑んでいただくのは、泣かせたり、怒らせたりするよりも遥かに難しいこと。悲劇よりも喜劇の方が成功させ難いのです。

さて今回‘笑顔’や‘笑い’というテーマから書き出した理由は3月21日から4月8日までディストリクトで開催する‘ビスケットヘッド’のポップアップが関係しています。

ビスケットヘッド(biscuithead)のデザイナー、橋爪大輔さんはロンドンの学校London College of Fashionを卒業して帰国後、英国を代表するブランドMで4年間パタンナーやデザイナーを経験された後、日本が世界に誇るブランドCのメンズ・コレクション・ブランドで10年間ヘッド・パタンナーを勤められました。

ディストリクトにとって最重要なメンズ・ブランドであるC。その斬新なデザインやコンセプトに感動し、複雑なメイキングに驚き続けて20年になります。橋爪さんが永年にわたってCの制作側にいた、という事実は彼がいかに優秀なパタンナーであるかを証明するものです。彼が自らの強い意志で独立を決意し2015年にスタートしたのがビスケットヘッドです。最初にビスケットヘッドのサンプルを見せていただいたとき、僕とバイヤーの豊永譲司は良い意味での予想外な商品に驚きました。ディストリクトで最初に買い付けさせていただいた時のテーマはAdjustable(調整可能)。ジッパーで開閉することによりジャケットやコートの身幅や袖幅が大きくなったり細くなったりするフシギな服でした。ジッパーのスライダーは大きく、かつカラフルで、結果とてもポップで楽しい服。

今まで様々な新しいブランドに出会ってきましたが、このビスケットヘッドもまたユニークな服でした。ある意味バカバカしいことを生真面目に追求しているとも言えます。

・ジャケット:¥44,280(税込み)

・半袖シャツ:¥33,480(税込み)

・半袖シャツ:¥33,480(税込み)

・半袖シャツ:¥33,480(税込み)

1.カラフルである
2.調整可能である
3.シンプルである

たとえばLEGOを想起させる服です。着るヒトが自分で細さを加減できる服……それは一種の便利さではあるのですが、同時に‘意味の無い便利さ’とも言えます。あるいは着るヒトが参加できる服なのかもしれません。共犯関係になれる服。1960年代以降のポップ・アートには観客が‘参加’できる‘アート’が多いのですが、このビスケットヘッドには、そんなポップ・アートのポジティヴな仕掛けも感じました。特筆すべきは、このアソビの面白さを支えるものがパターンの完成度であるということ。たとえばキース・へリングやアンディ・ウォーホルもデッサンがしっかりしていたからこそ良い結果(作品)を生み出せたわけです。ジャンルは洋服ですがビスケットヘッドも’パターン‘という基盤の完成度がアイデア(デザイン)の完成度を支えているのは間違いないのです。

さて、この出会いから数シーズンを共に過ごし、今春ディストリクトでは初のビスケットヘッドのポップアップ・ストアを開催します。今春のテーマはFlat(平ら)。畳むと平らになってしまう服や‘平ら’から連想される‘モチーフ’がプリントされたシャツ、そして今回初お目見えするシークレット・アイテムにも橋爪さんならではの‘ユーモア’を感じます。とても楽しいコレクションで僕も数アイテム購入予定。

・パンツ:¥32,400(税込み)

・パンツ:¥32,400(税込み)

・パンツ:¥29,160(税込み)

・デニムパンツ:¥28,080(税込み)

・デニムパンツ:¥28,080(税込み)
・ベルト:¥10,800(税込み)

ファッションには様々な要素がありますが、着るヒトや見るヒトを楽しくさせてくれるのもファッションの役割です。また、単に暑さや寒さを凌ぐだけでは無いのもファッション。近年、ファッションがネガティヴに語られることが多いのですが、それは発表から入手までの時間の短縮度合いや価格の低下、あるいはトレンド性や有名人との関係ばかりに言及するからでは? と思うのです。

ファッションとは‘ひとがひとのために創造する、ひとでしかつくりえないモノ’の集大成であり具体例です。そういう観点で、橋爪大輔さんのビスケットヘッドはファッションの本質的ななにかを具現化してくれているのかもしれませんね。

ポップアップ・ストアでお待ちしています。


クリノ・ヒロフミ 2018年3月