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着たくなる服、フミト・ガンリュウ

新しいシーズンのアイテムが入荷し始めています。新作のなかから今回紹介するのはFUMITO GANNRYU。クリノが注目する、このブランドの良さとはどこなのか?

‘服作り’においてキャッチーな仕上がりにするのはそんなに難しくない。結果としてそれが売れたりもするが、飽きられるのも難しくない。
メンズの服でベーシックな部分を守りながら、なおかつ、新しいものを具現化するのは新奇を狙うよりも難しい。また、ベーシックと言っても、いわゆる‘復刻版’は復刻にかけた努力は評価されても、それ以上のものではない。

僕が服や靴のバイイングに携わるようになって40年超になります。
はじめは恐る恐る買付けて、次に結果が出ることに喜びを見出し、少しずつ自信もつき、やがて‘僕ってセンス良いかも!’と自惚れ、それが原因で良い結果が出なくなり、自分の考えや行動を見直し、そして共に販売してくれるスタッフとのチームワークの重要性を再認識して再浮上……。そんな40年間だった気がします。

特にデザイナーズ・コレクションを買い付けるようになって以降、服の面白さと難しさの両方を未だに味わっています。これは僕達バイヤーの考えやアプローチの側面と、コレクションやそのクリエイターたるデザイナーの力量や芸風という面の両方に関わる主題でしょう。

・コート(FUMITO GANRYU):¥79,200 (tax in)

・ジャケット(FUMITO GANRYU):¥69,300 (tax in)

・ジャケット(FUMITO GANRYU):¥74,800 (tax in)

・パンツ(FUMITO GANRYU):¥46,200 (tax in)

今回、ご紹介するフミト・ガンリュウはGanryuだった時からお付き合いのあるブランド。最初の展示会、初のミニ・ショウ、東京ファッション・ウィークでのランウェイショウ、そして突然のブランド休止。復活後のフィレンツェPitti Uomoでの招待デザイナー、やパリ・コレクション……と、その歴史を身近に体感してまいりました。
実は休止後もディストリクトでの品揃え会議のだびに‘ガンリュウがあれば……’と何度も名前が挙がっていました。業界で‘ストリート・ラグジュアリー’と呼ばれるジャンルの服やブランドが興隆した時期も、ディストリクトではロゴやバズに頼らず、たとえストリート感覚がベースにあったとしても‘きちんとクリエイションしている’ブランドだけ扱おう、と何度も確認しあい、その具体例として丸龍文人さんの仕事が我々の念頭にありました。

・コート(FUMITO GANRYU):¥132,000 (tax in)

・コート(FUMITO GANRYU):¥132,000 (tax in)

・スウェットシャツ(FUMITO GANRYU):¥34,100 (tax in)

・パンツ(FUMITO GANRYU):¥31,900 (tax in)

復活後の勢いに関しては僕が言うまでもないと思いますが、ブランクを感じさせない手応えです。現在のブランド フミト・ガンリュウ(以下、FG)は以前からのファンに加え、新たにFGというブランドを知った若い世代からの支持もアツく、そういう意味ではジェネレーション・フリーな存在ともなりつつあります。ディストリクトで言えば、20代のイワシタ君からクリノのような60代後半までがFGのクリエイションに共感しています。
共感というよりは一種の中毒性がある……と言っては物騒ですが、たとえばクリノは買い損ねた昨年以前の商品がどうしても着たくてインターネットで検索して掘り当てたりしました。
冒頭に‘ベーシックな部分を守りながら、なおかつ、新しいものを具現化する難しさ’を述べましたが、FGはまさに、その実行者では無いかと思います。
FGには毎シーズン登場するアイテムがあります。ダッフルコートやブレザー、コーチジャケットやスウェット……。それはまさにアイビー・リーガーズの定番的アイテムであり、我々は60年代からそれらのアイテムを見知っている訳です。では丸龍氏はアイビー・リーガーズ的アイテムだけが好きなのか? と言えば全く逆で、彼が実現しようとしているのは‘一見ベーシックに見え、既視感があったとしても、もっと創造的で独自な服’つまりクリエイティブでオリジナルなデザイナー服、でしょう。しかし、そこに‘トラッド・マインド’という背骨があるからこそ、単なるキャッチーな服や復刻版では無い仕上がりになっているのだと思います。僕やディストリクト・スタッフの原稿や会話に頻出する、この‘トラッド・マインド’とは、‘変えてはいけないものを変えないために、変えるべきところは変え続ける’というスピリットに根差した、モノづくりや接客そして会社作りの基本理念です。
モノで言えば、服のメイキングにおける丁寧さ(素材選びや縫製仕様、仕上げ)をたいせつにし、服としては着易く、楽しい服でありつつ、完成度が高く、短命では無く、来年も5年後も着続けられる、あるいは自己アーカイヴ(箪笥、とか)の中から再発見・再評価できる、結果としてタイムレスなピースが持つマインドのことです。それゆえ、クリノはインターネットで‘モッズ・コート’や‘ブレザー’を検索し、購入したわけです(たしかコートは仙台にあったと記憶します)。

・ブルゾン(FUMITO GANRYU):¥72,600 (tax in) ※ 2021年8月下旬入荷予定

・シャツ(FUMITO GANRYU):¥41,800 (tax in) ※ 2021年8月下旬入荷予定

・ジャケット(FUMITO GANRYU):¥63,800 (tax in) ※ 2021年8月下旬入荷予定

さて、2021A&Wのフミト・ガンリュウ、今シーズンも冴えてます。先述のダッフルコートやスウェットに加えてスポーツアウター、フェアアイル・ニット、チェックシャツ、スリッポン、サルエル仕様のデニム・パンツ、ペグトップ・パンツ、セパレート・ジーンズ、キルティング・アウターといった珠玉の逸品がラインナップ。そこに良いノイズを加えるカラフルでボリューミーなスニーカーとビッグなファーライク・ハット(Space Cowboy JK! )。
楽しいラインナップであり、どうやって組み合わせるか想像するだけで嬉しくなります。
ちなみに2020S&Sのルックブックをスタイリングしたトム・ギネス氏のさりげなく、上品なセンスとユーモアもクリノが大好きなテイスト。

最後になりましたが、丸龍文人氏のプロダクツのもう一つの魅力は納得価格。以前のC社傘下時代に拝見した初期の展示会時、価格の納得性についてコメントした僕に‘やはり服というものはリアルなものなので、手が届かない価格や反撥したくなる値段にはしたくないんです。最終商品の価格まで責任を持って“デザイン”するのが僕の役目だと思っています’と答えてくれた丸龍さんの姿勢を尊敬します。

2021年、8月。クリノ・ヒロフミ記。