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District Report | District 通信

ラフ シモンズ
2017 春夏コレクションについて

まさに“ファッションとアート”の化学反応の好例となった、ラフ・シモンズの最新コレクション。アートを利用しないラフの精神やリスペクトを最優先し、かつ“服として如何にリアルか?”を重要視したアイテムがやってきます。クリノが語ります。

近年“ファッションとアート”というフレーズを頻繁に聞くようになりました。ファッション誌に限らずこのサブジェクトについて多く語られる様になった背景には、異なるクリエイティヴ・カルチャー間の交流や境界を超えたコラボレーションが頻出しているからでしょう。そのこと自体には非常に共感します。文化や創造性の多様性こそが世界を面白くし、ひとがより心豊かに暮らせるきっかけとなります。ただし、どうしても“手放し”で賞賛する気持ちにはなれない面もあります。それは“ファッションとアート云々”には“時流に乗った”印象だったり、どちらかがどちらかを“利用”しようとしていたりする感を否定できない例も多いからなのです。

“アートとコラボレートするファッション”とか“ファッションにアートを取り入れる”の具体例には、“付け焼刃”感が否めないものや“本当にアートをリスペクトしているの?”と疑問が湧くケースがあります。結果として、ファッションが弱体化しているから“アート”という看板を借りたいのだろう…とか、逆にアート業界が若者ウケしたくて“ファッション”の持つポピュラリティーにすり寄っているのか?等々勘ぐってしまいます。

このような小言を言うのも、ファッションもアートも等しくたいせつで愛しているからです。全てのクリエイションとは“違う世界を見せてくれるもの”であり、“違うところに連れていってくれるもの”。ファッションやアートと接し“生きていて良かった”と思います。

近年多く出現した“ファッション・カンパニーの美術館”の中でも共感できるものとそうでないものとがありますが、心から感動したのがプラダによる“フォンダシオン・プラダ(プラダ財団)”です。複数の財団施設の中でもミラノのポルタ・ロマーナ地区のものしか訪れていませんが、彼等の現代美術に対するアプローチには“本気度”を感じます。現代社会に対する記号論的分析やアイロニーに満ちたキュレーションの視点は施設全体の“装置としての知性”と絶妙なケミストリーを生んでいます。街自体はイマイチのミラノですが、“フォンダシオン・プラダ”のお蔭で訪れる理由が一つ増えました…。この財団の知性は当然プラダという企業のブランディングにリンクしています。


さて、昨年6月のプラダのショウに行った際、入口で嬉しいサプライズがありました。そこにラフ・シモンズが居たのです。“ミラノにラフ?ああピッティ・ウオモからの流れか!”と理解し、すぐ近くに居たので挨拶を交わすことも出来ました。「ピッティ・ウオモのショウ最高!モデルもみんなマップルソープだったね」と言ったら喜んでくれました。

2016年、6月のピッティ・ウオモは近年最も充実したものでした。スペシャル・ショウの招待デザイナーはラフ・シモンズ、ゴーシャ・ルブチンスキー、ルチオ・ヴァノッティ、そしてヴィスヴィム(このショウも楽しさ満載でした)…。なかでも2度目の招待となるラフは、写真家ロバート・メイプルソープの作品とその世界にフォーカスした非常に完成度の高いコレクション。一応解説すると、メイプルソープは20世紀の最も重要な写真家の一人に挙げられる存在であり、かつ、その撮影対象の性的意味や結果的に自身もエイズで早逝したこと等から“レジェンド”となったクリエイターです。

モダン・アートを愛し、コレクター&キュレーターでもあるラフが近年多く取り上げているジェンダーと現代社会というテーマからもメイプルソープという選択は理解できます。


ここで本文冒頭の見解に戻ると、このコレクションこそはまさに“ファッションとアート”の化学反応の好例だと思います。ラフは取って付けた様に“アートを利用”していません。また、単に作品をプリントしてアイテム化したものでもなく、“そこにメイプルソープの写真が使われている必然性”のようなものを納得させる完成度です。“愛するメイプルソープの写真がいきる様にデザインされている”のです。ランウェイ、そして展示会を見たクリノとジョージは、このラフの精神やリスペクトを最優先し、かつ“服として如何にリアルか?”を重要視してセレクションしました。

1.写真家の作品がいかされたアイテム
2.それを上手く着る為のアイテム
3.ラフらしいアイテム
4.トラッド・マインド(今回もニットが素敵です)

が選ばれた結果に表れていると感じていただけると信じます。

また、ショウ・モデルの殆どがメイプルソープ風のカーリーヘアに仕上げてあったり、ランウェイの脇にディスプレイされた過去20年分のアーカイヴ・コレクションが“ウィメンズのマネキン”に着せてあったり(つまりジェンダーフリーという意味)…と隠し味も満載でした。

・(写真左)Tシャツ:¥38,880(税込み)
・(写真中)Tシャツ:¥38,880(税込み)
・(写真右)プリントシャツ:¥136,080(税込み)

・(写真左、中)レギュラーカラーシャツ:¥74,520(税込み)
・(写真右)バンドカラーシャツ:¥136,080(税込み)

・(写真左)コート:¥191,160(税込み)※
・(写真中央、右)モッズコート:¥252,720(税込み)※

・パーカ:¥62,640(税込み)※
・スウェットシャツ:¥57,240(税込み)※
・ポロシャツ:¥89,640(税込み)※

・(写真左)タンクトップ:¥72,360(税込み)
・(写真中)タンクトップ:¥103,680(税込み)※
・(写真右)タンクトップ:¥37,800(税込み)

・ショートニットボアベスト:¥75,600(税込み)
・ショートポロシャツ:¥89,640(税込み)※
・ワイドパンツ:¥92,880(税込み


※ 3月24日(金)発売予定です
※ ※印のついたアイテムの発売は近日予定、Blogにて随時お知らせいたします。

今年の2月はクリノにとってラフ月間&ニューヨーク月間。それは2017/18 秋・冬のラフ・シモンズ・コレクションがNYメンズ・ファッション・ウィークの招待デザイナーとなってロケーションがNYとなった為と、彼が今秋・冬からカルヴァン・クライン(CALVIN KLEIN)のチーフ・クリエイティヴ・オフィサーに就任し、ブランディング全てを統括・ディレクションする立場として初のランウェイがあったからです。正直、今はあまり立ち寄りたくないアメリカに10日間に2度も行ったのもラフ故…。結果は素晴らしかったのですが、それは別の機会に報告します。

皆様へのお薦めはCALVIN KLEINの下着の広告最新版。アンディー・ウォーホルの作品やスターリング・ルビーの作品の前に佇むモデルたち、或いはアカデミー賞を受賞した“ムーンライト”の出演者であるアフリカン・アメリカンの男性たちをキャスティングしたシリーズ(受賞を知る前に撮影したという《強運伝説》再び!)、どちらも素晴らしいクリエイションです。ショウの会場となったCK本社各フロアにも、ラフのキュレーションによるスターリング・ルビー作品がアレンジされています。


ディストリクトのセレクションによる2017年、春・夏のラフ・シモンズ、ぜひお楽しみください!

2017 春。クリノ・ヒロフミ