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'美と文化の館'

posted by クリノ

The House Of Beauty and Cultureを直訳すると''美と文化の館'となります。

クリノの43年間の洋服屋人生で'見逃したこと'や'残念なこと'の筆頭が

'The House Of Beauty and Culture'の現場に立ち会えなかったことです。

僕は幸運なことにイヴ・サンローランやカール・ラガーフェルド、アズディン・アライヤ、クリストファー・ネメス...といったファッション界のレジェンドに会ったり、多少の会話を交わしたり、少なくとも見かけたりしたことがあります。

彼等は素晴らしい足跡を残しつつ、地上からは旅立って行きました。

彼等が残してくれたものは単なるデザインやブランドや名声ではなく、ファッションやカルチャーにとっての'財産'である、といって差し支えないと思います。

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The House Of Beauty and Cultureは1986年にイースト・ロンドンに誕生したアトリエ兼ブティックの様な場所。オリジナル・ファウンダーはジョン・ムーアとクリストファー・ネメスの二人となっていますが、ジュディ・ブレームやフリック&フラック(インテリア・デザイン・チーム)、デイヴ・ベイビー、リチャード・トリー等々も関わっています。

スペースが誕生して話題となった頂点の時期にジョン・ムーアが他界し、僅か3年間でThe House Of Beauty and Cultureは終了してしまいました。僕の初ロンドン出張は以前お世話になった会社に在籍時の1985年でしたが、その後、前社ではロンドン駐在スタッフと契約し、僕はその駐在スタッフと密に仕事をしました。彼らのお陰で、日本には紹介されていなかったロンドンや欧州の新進デザイナー、ブランドとの取引や繋がりもできたのです。ちなみに1986年、ベルギーを出て、世界を目指した'アントワープ6'も彼らから紹介され、結果としてドリス・ヴァン・ノッテン、ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク、ディルク・ヴァン・セーヌ、ディルク・ビッケンバーグスの4ブランドと取引しました。この中のドリス、ウォルターとは今でも取引があります。

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そして勿論、ロンドンの新進デザイナーは他社に先駆けて扱うことができたのです。ジョン・ムーアの靴もリアル・タイムで仕入れていましたので、本人やThe House Of Beauty and Cultureの場所にじかに接する機会もあった筈なのですが、アトリエ/ブティックのオープンが不定期だった、という事情もあって'現場'訪問が叶わないままに消滅してしまいました。The House...の果たした意味/意義が現代ファッション史に残るものだ、ということに関しては僕がファッション・カルチャーを知れば知るほど再認識し、痛感させられます(僕の本『モード後の世界』でも書かせて頂いています)。

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例えば'Do It Yourself'や'Ad hoc'、つまり'なければつくってしまおう'という感覚は、資金や知名度がなくても'創意工夫'で洋服やアクセサリーや家具が作れるのだ、という実験精神や挑戦の'具体例'としてThe House Of Beauty and Cultureが示してくれたものであり、当時現地を訪ねたマルタン・マルジェラも大きく影響されたそうです。

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僕は2016年にロンドンのICAというギャラリーでジュディ・ブレームの回顧展を見る機会がありました。ジュディはコム・デ・ギャルソンとのコラボレーションでもお馴染みと思いますが、彼もまた拾ったもの(found object)を組み合わせたり、既存のものを掛け合わせたりすることによって、それらになかった新たな意味や美を創出することに卓越したクリエイターです。彼のしごとを一言では言い表せないのですが、ジュエリー・デザイナーであるだけでなくスタイリストとしての仕事ぶりも圧倒的に創造的です。

'服はもっと自由なものであって良い'

'ジェンダーはもっと自由に考えて良い'

'ものはそれが本来担わされてきた役割から逸脱して良い'

というジュディの'やり方'は、単なる作風やセンスを超えて、社会的なメッセージや哲学としても訴えてきます。

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そしてジョン・ムーア。彼のシュー・デザインもまた'自由'なものです。ジョンは英国が世界に誇る靴づくりの学校'コードウェイナーズ'の卒業生。同校からは数多くの優れたシュー・デザイナーが巣立っていますが、ディストリクトでご縁のあるロサモサの二人、ユージさんもシモーネさんもコードウェイナーズの卒業生です。

京都出身のユージさんとザルツブルグ('ザ・サウンド・オヴ・ミュージック'の舞台となった美しい古都)出身のシモーネさんが出合ったのもコードウェイナーズ。そして彼らのベースであるオーストリアのウィーン(ここも'古都'ですね)でブランドを起こしましたが、僕が彼らに出会ったのはパリのマレにあるメキシコ・カルチャー・センターでした。

この話に登場する全てのジオグラフィー・ミックスは相当ややこしいですね。余談ですが。

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ジョンの後輩であったことが理由ではないと思いますが、数年前にrosa mosa x John Mooreのモデルが登場しました。パリのエッフェル塔が見える建物での展示会でサンプルを拝見した僕は興奮しました。ジョン・ムーアのオリジナリティーにロサモサの履き易さが合体したオリジナルなシューズ...。半年後に入荷してきた靴は僕も濱本店長も即、購入し、大好きな1足となっています。昨年12月にウィーンに行ったときにも履いていきました。

さて、そんな背景のあるジョン・ムーアの典型的なモデルを今回のディストリクト20周年の機会にお願いしてみたら快諾してくださいました。実はあのモデルをグッドイヤー製法のラバー素材でつくれるファクトリーというのが無くて、そこもロサモサのお二人は苦労した様です。こうしてrosa mosa x John Mooreは再びディストリクト店頭に並んでいます。

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この原稿を書くにあたり、2016年のICAの展覧会時に購入した図録 'HOBAC:House of Beauty and Culture'や当時のFACE誌を見返しましたが、あらためてわくわくし、何か自分の底の方からマグマが湧いてくる様な感触を覚えました。創造のちからは強固です。

COVID-19による様々な影響や行動の制約、景気への影響などからは逃れようがない状況ですが、一方で、何もかも'コロナのせい'にし過ぎ、では?とも感じています。

確かに世界がひっくり返るような状況ではありますが、これを機会に社会のシステムや人の暮らし方や消費社会、そして地球環境との付き合い方を根本的にあらためるべきでしょう。今がチャンス、なのです。

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1331-343-8852 ROSA MOSA ×JOHN MOORE District SPECIAL

PRICE:90,200_JPY(TAXIN)

そして今こそThe House Of Beauty and Cultureから学び、前に進みましょう。自由や創造性は社会の危機にこそ真価を発揮するものと信じています。是非、ディストリクト店頭へお越しください。そしてrosa mosa x John Mooreやコム・デ・ギャルソン、カラー、アンダーカヴァー、ドリス・ヴァン・ノッテンetc...の創造的力強さに触れてみられてはいかがでしょうか?

Moving on together ! Kurino Hirofumi

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