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《将来が楽しみな次世代たち》

posted by クリノ

皆さんこんにちは。初夏云々と言っているうちに梅雨、そして間もなく夏ですね。

この原稿を書いている東京では5月なのに日中30度超えして驚いたり、でも夜は涼しかったり...と、まだいろいろ着られる楽しさもあります。

シャツを着て上に薄手のジャケットや軽いブルゾン(今シーズンのディストリクトでは特に豊富です)を羽織るのか、長袖のシャツだけを着て(勿論ズボンは履きますヨ)、それでも暑かったら袖まくりをするのか、いや、もう半袖でしょう、ということになるのか...。

さて、近年クリノの春・夏の装いが変化しています。

1.かたくなに拒んでいた半袖シャツを着るようになった

2.気温対策だけでなく《半そでシャツは格好良いかも!》という気持ちになっている

3.結果《半袖を前向きに着る為の靴選び》等も楽しくなった

4.パンツのバランスやヴァリエーションが変化した

5.重ね着のヴァリエーションが増えたetc...

という塩梅です。

1960年代末期から70年代初頭にかけ僕は《脱高校男子》的な様々なスタイルに挑んでいました。当時、世の中に素敵なメンズ服を売っているお店は殆ど無く、また男性向けの面白いファッション誌も無かったので、僕の洋服のヒントはロック・ミュージシャンの着こなしや女性向けの雑誌からでしたが、特に後者で紹介されていた新しいスタイル《レイヤード》は気になりました。あの頃僕がトライしたのは長袖の上に半袖のレイヤード。

プリント柄のシャツに半袖のTシャツ、という着方も新鮮で好きでした。

そして僕の着こなしのヒントはビートルズ、ローリング・ストーンズやザ・フーからデヴィッド・ボウイへと移り、あるときブライアン・フェリーという存在を知って大きく変化したのです。

《アヴァンギャルドな歌詞やサウンドメイキングのRoxy Musicという見た目も派手なバンドをやりつつ、ソロではロックやポピュラー音楽の古典をカヴァーするヒネった大人》であるブライアン・フェリーのスタイルとは《サヴィル・ロウ・スーツにコム デ ギャルソンのミックス》...斬新で共感できるものでした。

ブライアン・フェリーに背中を押されて(って、本人知りませんけどね)僕のオリジナル・スタイルへの終わりなき道が始まりました。

あれから40年。

今や60代となったクリノですが、相変わらず色々な服を着て、様々な音楽を聴いて暮らす中で、最近の僕のヒントになっているのはディストリクトのスタッフ達です。

女性スタッフも含めたディストリクトの店頭、バイイング、そして企画スタッフ達は皆、洋服を自由に楽しく着る才能と喜びとに溢れていると思います。

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身内を褒めるのもナンですが、これは事実です。そして店頭スタッフを慕って下さる顧客の方達もお洒落な方が多く、僕はディストリクトというお店に行く度にそこにいるスタッフとお客様の格好をみるのが楽しくて、結果週に何度も足を運びます。

そんな《お店訪問》で最近思うのが《今流レイヤードの多様性》です。

冒頭に書いたように、気温や天候が変化しているのに対応して洋服の着方も多様化し、当然重ね着のヴァラエティーも増し、シーズンもジェンダーさえもどんどん超越していっている気がします。それは良いことだと思います。

サイズの関係からウイメンズを着る男性もいます。

逆に大きく着るのが好きでメンズを着る女性もいます。

彼等を見ていて19歳頃の自分を想いだしました。長袖に半袖を重ねていたクリノを...。

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そんなクリノがユナイテッドアローズの弟分とも言うべきビューティー&ユースの新旗艦店H Beauty & Youthで購入したのがKOCHÉ(コシェ)のTシャツです。

まずH Beauty & Youthから説明しますと、それは《ビューティー&ユース》の新しいフラッグシップ・ショップであり、かつ新しいコンセプト・ショップでもあります。

場所は南青山《港区 南青山3-14-17》で、コム デ ギャルソン青山本店からプラダに下り反対側の角を見て頂くとミウミウとステラ・マッカートニーがあり、両店舗の間の小道の突き当りがH Beauty & Youth。2016年、4月末にオープンしたばかりです。

詳しい内容は是非同店舗を訪れて体験して頂きたいのですが、その地下にKOCHÉ(コシェ)というフランスの新進ブランドのポップ・アップ・ショップがあります。

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コシェはクリステル・コシェという若いフランス人女性デザイナーによって2014年に創設されたブランドですが、《ハイ・ファッションとストリートと現代アートの融合》というコンセプトが独特かつ秀逸です。

僕はパリで開催されたLVMH Prizeという新人ファッションデザイナーの2回目のコンペティションで知りました。僕が同プライズの審査員をやらせて頂くなかで面談した予選を勝ち抜いた新進デザイナー・ブランドの中にコシェがあったのです。

僕はコシェのつくる服に触れ、コンセプトを聞き、プレゼンテーションを見て

《コレは只事ではない!》と身震いしたのでした。

1994年にマルタン・マルジェラを始めて買付したとき、1996年にアントワープ学院の二年生だったベルンハルト・ウィルヘルムを審査したとき、1995年にラフ・シモンズのパリ初の展示会を見たとき。或いは日本国内ではアンダーカヴァーやジェネラル・リサーチやppcmやカラーやサカイや山縣良和を知ったとき...。幸運にも僕はこうした才能ある新人達のデヴュー前や黎明期に立ち会ってきましたが、昨年3月にクリステル・コシェと彼女のブランド、コシェと出会って久々に胸騒ぎがしました。

80年代にズリー・ベットやマルタン・マルジェラが挑んでいた《ストリートを呼吸したハイ・ファッション》の21世紀版が具現化されつつあることを直感したのです。

KOCHÉの生産背景はクリステル・コシェのもう一つの顔と関係しています。彼女は誰もが知るオートクチュールやプレタ・ポルテ・ブランドの最高峰《C》のハンド・クラフト部分を請け負うアトリエ《メゾン・ルマリエ》のクリエイティヴ・ディレクターを務めています。彼女が《メゾン・ルマリエ》に参加した時には僅か20名弱の老婦人によって支えられていた工房を、彼女は5年で若い女性達も参加する100名のチームに育てたそうです。

クリステルが自らのミッションとしているのは《伝統的クチュール技術の継承》です。

そこで、彼女が自らのブランドであるコシェを立ち上げてからもコレクションの多くはそうしたハンド・クラフト背景で制作されているのです。

ただし、その結果、コシェの製品の価格はかなり高価なものとなってもいます。

2016年、春の時点でコシェの取扱いは日本では《H Beauty & Youth》だけであり、結果的にエクスクルーシブとなっています。

昨秋、9月29日にコシェは初のランウェイ・ショウをパリ・コレクションの初日に行いましたが、その会場とはなんと地下鉄レ・アール駅のコンコース。帰路を急ぐ通勤客等が行き交う中、広場の床にテープを張ったところが《ランウェイ》という設えです。僕は普通に通行人がいる中で敢行されたオール・スタンディングのショウを見て、その大胆さと革新性に驚きと感動を禁じ得ませんでした。

クリステルが実現したかったのは《アンチ・エリート主義》。本来はあらゆる自由が担保され、その中で制作・発表・観覧されるべき《ファッション・ショウ》にいつの間にか権威主義が蔓延ってしまい、ファースト・ロウに固執する《ファッションピーポー》のエラそうな態度が目立ち、ファッションが《売名行為の場》と化してしまっているかのような現実に対するアンチ・テーゼです。

そこで《ハイ・ファッションとストリートと現代アートの融合》というコシェのブランド・コンセプトが思い起こされます。偶然通りかかった一般の方もショウを楽しめ、モデルも《オシゴト》としてではなく関わることをエンジョイできるショウ。あらゆる肌の色の、あらゆるジェンダーのひとが《参加》するショウ。主なモデルはストリート・キャスティングですが、その中には男性も交じっています。或いはダンサーや刺青師。そして現在超売れっ子のプロのモデルもミックスされたキャスティングをみるだけでもコシェというブランドの《覚悟》がヒシヒシと伝わってきました。

続く、2016年、3月のパリ・コレクション。これがコシェの2回目のランウェイ。

今回の会場は10区のファンキーなヘア・ドレッサーが軒を連ねるエリア。ファッションピーポーはおろかツーリストも殆ど見かけない、極めて《ローカル》なアーケードで開催されました。今回もオール・スタンディングでファースト・ロウ・ヒエラルキーが皆無の設えです。実はバック・ステージもアーケードから100m離れた場所だったということで、モデル達の現場との行き帰りは今回も《公開》されていました。

なんと痛快なコンセプト/プレゼンテーションでしょう。

このショウには後日談があって、会場となったアーケードはショウの後注目され、それまでおそるおそる眺めていた近隣住民が再び寄りつくようになったそうです。

一種の《村興し》効果を生んだ訳です。僕はクリステルさんからこの話を聞いて、あらためて《ファッションのチカラ》を想いました。

さて、H Beauty&Youth(B&Y)は現在日本唯一のコシェ取扱い店舗であるばかりでなく、世界で唯一ここだけで扱っているアイテムもあります。

それはコシェに特別依頼して作って貰ったTシャツとジーンズです。

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※クリノ着用のパンツは本人私物のJi.ワイドパンツ(District)です

前述した様にコシェがオートクチュール的な生産背景でモノづくりをスタートした関係上、折角コンセプトは斬新なのに若いお客様の手が届かない商品ばかりになってしまうことを避ける為、B&Yのバイヤー、Fさんがコシェにお願いして制作して頂いた限定アイテムがTシャツとジーンズなのです。

TシャツのSサイズはウイメンズ・サイズ(細身の男性も可能)ですが、Mサイズは男性が余裕で着られる大きさ。写真で僕が着ているのがMサイズです。

Tシャツのデコレーション/デザインも全て手仕事。あのCと同様の生産背景なので、実際凝っていて1枚1枚全てディテールが異なるクラフト感に感動します。

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※1枚1枚全て異なるディティールの為、同じデザインのものはありません

さて、今回僕が紹介したかったのは《次世代》への期待と希望ということ。

ディストリクトの企画スタッフもバイヤーも販売スタッフも成長しています。

またUAの弟分のようにスタートしたBeauty&Youthが大人になってH Beauty&Youthの様に素敵なお店を具現化してくれたことは本当に嬉しいです。

そしてKOCHÉを手掛けるクリステル・コシェ。彼女は間違いなくこれからのファッションをリードしていく存在となるでしょう。クリステルの掲げる《夢/ヴィジョン》や、それを実現する《意志》、そしてファッションの未来に対する《責任感》が素晴らしいです。

日本は18歳から選挙権がある国になりました。彼等も真摯にこの国や世界の平和について考え、行動してくれるものと信じています。

いつまでもファッションを楽しめ、放射能の恐怖も無い平和な世界であり続けますように。

Kiss The Future♪

クリノ・ヒロフミ 2016年、5月。

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