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'お洒落はたいせつだ'宣言:2015年、春。

posted by クリノ

 1条:そもそも衣服は外気温と体温とをバランシングしてくれるもの

原始時代のヒトを想像したイラスト等でお馴染みのように、かつて衣服とは寒さや外敵から身を守る為の道具/装置でした。狩猟というかたちで食べるものを得ていた時代、狩りをして獲物を得、中身を食べた後の皮を着て寒さを防いでいたのでしょう。

余談ですが、皮革製品とは基本的に食肉の副産物。ですからイタリアのトスカーナ地方で肉料理が名物であると同時に革製品も有名で人気があることもこの関係性故です。

何故こんな話題から始めたかと言うと、今この原稿を書いている時期は気温の変化が大きく、日中は20度を超えるくらいポカポカと温かいのに、風が吹いたり、日が陰ったり沈んだりすると急に冷え込んで4度くらいになってしまうことがザラだからです。

日本では'花冷え'という洒落た言い回しもあります。

つまり桜が咲く時期に、夜は冷え込むということ。お花見で浮かれて酔っぱらいイイ気分で屋外で寝込んだりしたら風邪をひきますのでお気をつけて!

そんな時期を毎シーズン見てきたクリノとDr.Sは考えました。

冬が終わって春になって、でも夜や雨の日は肌寒いからそれに備えた服を作ろう!と。

世の中にそういうモノが少ないのですね。ウール・コートの季節の後、いきなり上着やニット1枚になってしまう、というか、そういう中間的時期に着るべきウェアが世の中に企画されていなかったのです。

前置きが長くなりました。

今、春・夏のディストリクト・オリジナルの'発明品'はウール・トロピカルのコート(ライナー着脱式)。そしてリバティー・プリントのコートとパーカと帽子です。



リバティー・プリントの3つのアイテムは同じ素材で出来ています。


それぞれ単品で着るも良し、組み合わせるのも良し。リバティー・プリントの帽子は鞄やポケットに忍ばせておいて雨が降ったり槍が降ったり(!)した際にサッと被れる訳です。

洋服の本質的な役目である温度調節と天候対策を具現化したアイテム群です。

 

2条:軽いことは良いことである

'人間性'は例外として、世の中で'軽い'ことは良いことだと思います。フットワークが軽ければ好奇心の赴くままあちらこちらに出かけていって見分を広めることができます。気持ちが軽ければ鼻歌のひとつも出ます。荷物が軽ければ旅が楽です。愛犬が軽ければダッコできます♪。ところで今春・夏、ディストリクトからサイに別注をお願いしたポリエステル/シルクのトレンチ・コートは正調なトレンチ・コートの全ての要素を持ちつつ、素材と色で軽く仕上げました。




ライト・ベージュとライト・グレイという色は、トレンチ・コートにはなかなか無い色調。トラディショナルなアイテム、使い勝手でありながらモダンで使いやすい逸品となっています。出張のお供に、春の結婚式のフォーマルウェアの上に、

そして'花冷え'にも対応してくれる便利で格好良いヤツ。心根はけして'軽く'ない。

 

3条:プリーテッド・パンツが新鮮

近年、メンズのパンツはずっと細身でした。実際、細い日本の男性には似合うシルエットです。しかし、ボトムスが細い一方だとスタイリングがワンパターンになってしまう危険性もあります。また、ここへ来てトップスや靴のヴォリュームが変化してきているので、パンツもそれにあわせたい気分。そこでお勧めはワイド・パンツやプリーテッド・パンツ。クリノは元々どちらも好きでしたが、昨夏、ts()のワイド・パンツばかり履いていたら新しい世界に目覚めました(!)。

1930年代、或いはそれに影響を受けた1970年代的なバランスや着方やムードにどんどん惹かれて...。そんな背景もあって、今春のディストリクトのディレクションが'オーケストラ・ルナを探して'になったのでした。オーケストラ・ルナ自体についてはDr.Sの手記をご参照頂きたいのですが、彼らもジャケット写真で着ていたプリーツ入りのパンツに先の丸い靴やコンビの靴の合わせが新鮮です。

ディストリクトのオリジナルとしてプロデュースし、提案しているのはトロピカル素材とリネンのストライプのプリーテッド・パンツです。例えば先シーズン以前にウール・トロピカルのブレザーをお買いになった方は、今期、そのボトムスに、ほぼ同素材のプリーテッド・パンツをあわせられては如何でしょうか?同じブレザーなのに全く新しく感じて頂けると思います。僕も手持ちの昔のネイビー・ブルーのブレザーにあわせてネイビー・ブルーのプリーテッド・パンツを買おうかと思っています。同モデルのリネンのストライプ版も購入予定です。いずれも4月初旬に店頭に並ぶようです。

ひとつだけお断りしておきます。ここでご紹介しているウール・トロピカルのシリーズは昨シーズン以前のものと品番も色番も同じなのですが天然素材である理由から、厳密には'全く同じ色'にはなりません。毎年、少しずつ色が違うのです。しかし、今後もディストリクトでは極力上下が同じ色/素材となる様に努力しつつも、微妙な差ならOKとしよう、とご提案申し上げるつもりです。セットアップの上下が100%同じなのは勿論正統的に素敵ですが、同時に97%位の同色、3%の微差はかえってお洒落じゃないですか?

そんな訳でディストリクト・オリジナルのプリーテッド・パンツは新鮮でお奨めです。

 

4条:素敵なコンビの靴

以前に'キザ'をテーマにしたシーズンがありました。今春・夏、特にキザ自体はディレクションのテーマではありませんが、プリーテッド・パンツの項で申し上げたように'プリーテッド・パンツにコンビの靴'というあわせは良い意味でキザで新鮮。

例えばロサモサのコンビ靴。

これは新型のUチップで、ロサモサにしては珍しいレザー・ソール(革底)です。レザーとバリスティック・ナイロンとの異素材コンビ。聞くところによるとバリスティック・ナイロンは通常のナイロンの5倍の強度を持つ軍服由来の素材だそうです。

コンビネーションのUチップ、というクラシックなデザインでありながらアッパー素材のバリスティック・ナイロンがモダン風味の隠し味になっているのかも知れません。太いチノパンツ等にあいそうですね。こちらはもう間もなく入荷予定です。

 

5条:タクアンイロノクツ

一時、イングリッシュ・タンの靴ばかり履いていた時期がありました。オルデン、エドワード・グリーン、クロケット&ジョーンズ、チャーチ、トリッカーズ、ジンターラ...

当時は自嘲気味に'ボクの靴タクアン色が多いですね!'と言っていましたっけ。

そして今春、ディストリクトに'タクアン色'が帰ってきました。


既に投入済みでジワジワと売れているパラブーツのシャンボードに、或いはジャコメッティのローファーに、或いは1昨年から継続中のチャーチのグラフトンに、それぞれイングリッシュ・タン(黄色みを帯びたライト・ブラウン)を品揃えしています。


そんなタクアンズの仲間にエシュンも加わりました。ディストリクトの顧客の皆様から声の多かった'ビジネス用に履けて、雨の日にも履ける靴ありますか?'にお応えしました。

エシュンらしいゴム底にトラディショナルなプレーントウのアッパーが載っています。

ちなみにタクアン色はライト・グレイのパンツやスーツにあわせるとノーブルでジェントルマンな感じに、ネイビーのスーツにあわせると新鮮な感じに、チノパンツにあわせればカジュアルを品良く着こなせますし、個人的には黒との組み合わせもミスマッチっぽくて好きです。

 

6条:ボヘミアンな大判スカーフ

ミラノのセールス・エージェントに行った際にジョージ君と見つけて感動したのがこの'Contro Figura'というスカーフ・ブランド。直訳すると'数に対抗して'ということになります。エージェントのスタッフに意味を聞いておけば良かったのですが、僕の勝手な解釈を書いてみましょう。

'世の中何でも数字的なことが優先されるからそれに対抗して'とか...

'数が多ければ良いというものではない。多数派が正しいとは限らない'とか...

いずれにせよ、グラフィック・センスがとてもアーティスティックで素敵です。

どの柄もお奨めできます。

スカーフなので首に巻いたり、女性は頭に巻いたり、サロン的に腰に巻いても良いと思いますが、壁に掛けたり、長椅子に掛けたり、天上から吊っても素敵な気がします。

服との相性という意味ではDries Van Noten, Casey/Casey, Bergfabel...等にあわせるとボヘミアンな感じで仕上がっていい感じでは?


因みにこの3ブランド、今シーズン特に良く売れています。

閉塞的な時代の中で'自由な空気'を呼吸している感じがウケている気がします。

 

7条:ブサイク・シューズ

またもや素敵なブスに出会いました!

え?いやいや靴のことですけどね。

今シーズン、カラーに作って頂いたナイロン100%のブサイク・パンツ第1号型というのがございまして(クリノも早速履いています♪)、シルエットも素材感もシワシワな感じも正調ブサイクなニュアンスが良いのですが、そのパンツに合いそうな、或いは、色々とあわせやすそうなブサイクな靴に出会いまして早速ディストリクトの店頭にお連れしました。

ディストリクトでは初めてに近いCheaney(チーニー)社の靴です。


名前はCAIRNGORM(ケンゴムと読むようです)。ご覧になってお分かり頂けるようにラストは丸/四角いです。ウェルトの上にアッパーの素材が一旦乗っています。つまりアッパーの革をそのまま引っ張ってウェルト上に載せて縫製しているのでそこからの水の浸入を防いでくれる構造。この構造からも伺えるように質実剛健な靴。クリノはこういう丈夫そうでゴツイ靴が大好きです。展示会にDr.Sとジョージ君と3人で行った際に一目見て

'ワオ!ブサイクでカッコイイ!'と3人声を出していました。これはあくまでも褒め言葉です。最近、クリノが気になっている'Working Class Look:働くひとスタイル'にぴったり。勿論、この靴をスーツやジャケットにあわせても素敵だと思います。

 

8条:'美と文化の館'

6条と7条で触れさせて頂いた様に、クリノは70年代の頃のボヘミアンな気分と80年代後半から90年代の東ロンドンのクリエイティヴな空気が気になっています。

僕は結局行けなかったのですが、東ロンドンに自由なクリエイターが集まって作った伝説のお店というか、たまり場というか、不思議なスペースがありました。

その名を'The House Of Beauty&Culture'と言います。1986年位に誕生し、3年位で消滅してしまったのですが、その空間の主催者の一人がシュー・デザイナーのJohn Mooreです。

ジョン・ムーアは新進シュー・デザイナーとして登場してヴィヴィアン・ウェストウッドなどにデザインを提供し、自らのブランド(John Moore)で注目され、そのユニークなデザインの靴で一躍時代の寵児となりましたが夭逝してしまいました。

しかし彼の残したシュー・デザインはあまりにもユニークで素晴らしく、かつ、それ故時代を超越したものとなったので、後に彼のデザインを管理しているところに正式に許諾を得れば'ジョン・ムーア・モデルの靴'を作っても良い、というシステムが出来ました。

90年代以降、何度かジョン・ムーア・モデルは具現化されています。

そして2015年の春・夏、なんと少なくとも2社(2者)がジョン・ムーアを世に出しました。ひとつがガンリュウで今春・夏のコレクションに入っています。

そしてもう一つがロサモサなのです。元々、ロサモサの溝渕さんとシモーネさんのお二人はジョン・ムーアも学んだ靴学校の後輩です。

余談ですが生前、絶頂期のジョン・ムーアに会ったことがある人が僕の周辺に3人も居て、これも縁なのかな、と思います。UA名誉会長の重松と帽子デザイナーの木島さん、そして先日来日していた画家/スタイリストのバリー・ケイメンです。バリーは元バッファローのメンバー。80年代後半のロンドンが持っていた自由で創造的な空気を全身に浴びて育った人物です。

さて、ロサモサ版のジョン・ムーアですが、とても良く出来ている上に履き易いのです。

少し早く入手していたクリノは海外出張中ずっと履いていましたが、履き心地の素晴らしさに驚きました。ヒミツはソールにもある様です。

勇気をもって時代を切り開いた人々に敬意を表して履きたい1足です。

こちらも4月初旬の入荷を予定しています。

 

9条:お洒落とは愛と平和の産物であり原動力である

説明無用と思います。

アフリカ、コンゴのブラザヴィルから生まれたサプール(サペ)の例を見るまでもなく、自分の服を整えたり、自分の姿を見直したりすることはひとの成長に繋がります。

お洒落はこころを成長させ、他者を思いやります。世界をより善いものとします。

 

では楽しい日々をお過ごしください!

 

クリノ・ヒロフミ

 


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