今週のプレップなクリノは、先週も来週もチノパンツ
'プレップなクリノ'は今週に限らずチノパンツ好きです。
生まれて初めてチノパンツなるものを穿いたのは1977年でした。銀座に出来たばかりのインポート&セレクト・ショップ'シップス'でアメリカはトムソン社のTCのノープリーツを購入。ちなみにTCとはテトロン/コットンの混紡の意味で、テトロンを現在の用語で説明するとポリエステルということになります。つまりポリエステル/コットン素材。
ついでに説明しますと夏場のスーツ生地等でよく使われるTWとはテトロン/ウール、つまりポリエステル/ウールの混紡を指し、TCもTWもシワになりにくかったり、濡れた場合の乾きが早かったりすることから、亜熱帯型気候に便利な初期型の機能素材とも言えます。
そう言えば、前者のTCは'ティーシー'と発音するのに、後者は何故か'テーダブ'と発音するケースが多い気がしますが、そこになんらかの理由があったのでしょうか...。
さて、クリノは1978年にアルバイトとして'ビームス'(当時は'インポート・ショップ'とカテゴライズされていました)に入社し、ビームスFの販売員となり、やがて店長兼バイヤー、そしてディレクターになりましたが、そのバイヤー時代の基礎を築くことになったアイテムこそがチノパンツだったのです。仕入れ商品、オリジナル商品共に実に良く売れてくれて、毎週のように追加発注。その発注タイミングや発注内容の掌握、メーカー様とのコミュニケーション等々がクリノのバイヤー魂(?!)を鍛えてくれたのでした。
だから、という訳ではないのですが、僕はチノパンツ好きで、何にでも合わせます。
UA創業時、イタリアのセクシーなメンズ・ブランドを仕入れていた時には'これをチノパンツにあわせます'と言って営業のイタリア人に不思議がられました。僕は昔からデザイナー・ブランドのアイテムにチノパンツやオルデンの靴を合わせるスタイリングが好きで、それはやがてコム デ ギャルソンにニューバランス、とかクリス・ヴァン・アッシュにパラブーツ、といった現在の僕なりのベーシック・スタイルへと発展、定着しました。
極論すると、僕がバイイングする際のモノサシは'このブランドやアイテムにチノパンツやウィングチップは合うだろうか?'という基準、と言っても過言ではありません。
さて今回は'全て同じトップス(ジャケット、シャツ、タイ)に異なるシルエットのチノパンツを穿いてみたら?という試みで、靴も3者共通です。

1.2年以上前のサイのパンツは、当初シングル(というかタタキ仕上げ)で穿いていたものを、最近、ダブルに再加工しました。当然、最初のステッチ(縫い跡)はアタリとして残っているのですが、そこにまた'愛着'も感じています。

2.ディストリクトの定番モデルである'NoP 3'つまりプリーツなしのテーパード型
パンツをチノ素材で作り、洗い加工をしたパンツ。これはある意味'理想形'かもしれません。シルエットが良い上に、最初から洗いをかけてあるので、シワや膝が気になりません。6月の買い付け出張時には絶対に僕のオトモとなるでしょうね.

3.そして'チノクロップドNoP6'。今年前半の人気爆発シルエットである'6'型をチノクロスでつくった製品です。カジュアル感やリラックス感と革新性が同居している上に、プレップな 清潔感やシンプル感もある...というユニークな存在。6型に少々抵抗感のある方でも、スンナリこなせます。ポイントはトップスの着丈と靴のヴォリューム。
また、実は女性客の愛好者もいらっしゃるモデルです。
これら全てを、昨年来のお気に入りのパッチポケット型のコットンジャケット、そして10年近く着ているラウンドカラー(以前のディストリクト・オリジナルです)、そしてシルクニットタイ、それにパラブーツのシャンボードに合わせてみました。
結論ですか?'チノパンツはエライ'です。
アレにもチノパンツ、これにもチノパンツ...
こういう素材(チノクロス)で作ると、シルエットやヴォリューム、或いはディテールが異なっても、大抵のアイテムに合うボトムスとなれる、それがチノパンツの魅力&底力である、と思いました。
そんなチノパンツですが、なんだか性格の良いワンコの様な気がしてきました^^
ウイヤツ、ウイヤツ...
では今週も楽しくお過ごしください!
Hirofumi(The Prep!)Kurino